九工大生のメモ帳

読書感想その他もろもろ

賭博師は祈らない3 感想

※ネタバレをしないように書いています。

※一巻のネタバレを含みます(一巻の感想はこちら→賭博師は祈らない 感想 - 九工大生のメモ帳

愛と狂気は紙一重

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作者:周藤蓮

イラスト:ニリツ

あらすじをざっくりと

当初の目的通り温泉が有名な観光都市・バースに到着した一行。ゆっくりと優雅な観光巡りができるかと思ったのもつかの間、怪しい影がついて回る。

すっかり名の上がってしまった”ペニー”カインド。はっきりとしたことも分からぬまま怠惰な日常を過ごす。

そんなある日、温泉から宿に戻ってみると荒らされた形跡と横たわる血まみれの少女。

厄介ごとに巻き込まれたと辟易しながらも、ラザルスは彼女を保護する。

町を巻き込んだ対立抗争。

そして、ゆがんだ愛の物語。

感想などなど

前巻を読んでからだいぶ日が経ちました。ボリュームたっぷり400Pの本作を読み進めます。

リーラとラザルスに加えて、いいところのお嬢様エディスとメイドのフィリーも旅の一行として同行。お待ちかねの温泉にも入ります(絵もちゃんとあります)。

さて、このまま平凡で怠惰で何も事件の起こらない……なんてことはありません。

最初は比較的穏やかに、しかし確実に進んでいきます。

事件についてざっくばらんに説明すると「二人の男が自分の信念を貫き通すために起こした抗争」といったところでしょうか。その抗争の中心にはラザルスがいて、本人は望まずとも彼の周りを巻き込んで展開していきます。

 

そして、語る時に外せないのが彼の部屋で倒れていた血まみれの少女です。

ラザルスは彼女を病院に連れていき助けます。そして、目が覚めた彼女は語りました。

『ベレロポン』

お父様から目が覚めて会った三人の男にこの言葉を伝えるように言われていた、と。

彼女の口からは度々お父様のことが語られます。

「愛している」

と。たとえどんなに酷い扱いを受けようとも。殺されるとしても「愛してるよ」と。

 

賭博の勝負も手に汗握るものばかりです。

相手の裏の読みあいから何から何まで、引き込まれていくものがあります。

そして、最後の賭博。

全員が命を賭けて、挑む大一番。

帯に書いてあった『愛を巡る狂気の一手を』という一言が相応しい最後でした。

 

愛と狂気は紙一重。度々物語で語られる愛の姿は様々で、中には理解に苦しむものもあって……。

最後に語られる愛は、狂気か? はたまた純愛か?

読んで確かめてみてください。

りゅうおうのおしごと!6 感想

※ネタバレをしないように書いています。

※今までのネタバレを含みます(一巻の感想はこちら→りゅうおうのおしごと! 感想 - 九工大生のメモ帳

将棋の神様

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作者:白鳥士郎

イラスト:しらび

ざっくりあらすじ

竜王防衛線を終え、弟子二人も女流棋士になれて順風満帆と思いきや、新年早々事件勃発!?

おみくじでは、怪しげな結果。

新年一回目のJS研では、小学生たちに告白を受ける。

弟子の棋士室デビューは大失敗。

散々な新年を迎える八一。一方銀子は奨励会三段になるための大一番を迎える。

感想などなど

空銀子。今までミステリアスでクール……と思いきや不器用な残念なヒロインと散々自分は言っておりました。ルックスというかデザインは個人的にはトップなのですが、いかんせんあまり多くを語られてきませんでした。

そんな彼女の視点も交えて、今回は展開していきます。

 

八一とJSたちとの絡みは、八一のロリコンっぷりがこれでもかと発揮され、あいたちの涙ぐましい(?)努力も描かれとても面白いです。

しかし、そんな笑顔にあふれた八一たちの裏側では、死に物狂いで戦う人たちがいるのです。

空銀子。

女流二冠。

実力はあって一巻の感想を書いていたときは「チートだろ」と言っていたような気がします。いつもクールに冷徹に勝利を積み重ねる彼女は、さながらロボットのように感じていました。

しかし、彼女は女性……いや、女子中学生です。

血が通っていて、勝てば人並みに喜び、負ければ他人の何十倍も悔しがります。そして、人並みに恋心を抱いたりもします。

空銀子と九頭竜八一。

彼らはこの作品に登場するヒロインの誰よりも長く一緒にいて、互いに多くのことを知っていて、一緒に将棋を指してきました。

空銀子が八一に対して抱く感情は、他人から見れば明らかなものです。

でも、伝わらない。もどかしさを覚えた読者は自分だけじゃないでしょう。

 

今回は奨励会三段の昇進をかけた大一番を迎えます。

相手は初登場・椚創太 十一歳。

※残念ながら男子です

相手も今回勝てば三段へ上がれます。つまり、

空銀子が勝てば女性で史上初の奨励会三段

椚創太が勝てば史上最年少での奨励会三段

世間が注目する一戦の幕開けです。

 

空銀子の抱く感情がストレートに、彼女の言葉で紡がれた本作。最後の一文がすべてを物語っているように思います。

アサシンズプライド 暗殺教師と無能才女 感想

※ネタバレをしないように書いています。

彼女の先生であり、暗殺者であり、そして……

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作者:天城ケイ

イラスト:ニノモトニノ

ざっくりあらすじ

マナという能力を持つ貴族が、人類を守る責務を負う世界。

能力者の育成学校に通う貴族でありながら、マナを持たない特異な少女メリダ=アンジェル。彼女の才能を見出すために家庭教師としてクーファ=ヴァンピールが派遣される。

彼女の才能がないと判断された場合、彼女を殺すように

と、暗殺者としての命令を背負って……

能力がすべての世界の中で、苦しみに満ちた人生を歩みながら、報われない努力を重ねるメリダ。そんな彼女に対して、クーファが下す決断とは。

感想などなど

マナという能力を用いて戦うバトルラノベ。主人公のクーファはステータスが未知数であるものの、教師として雇われている背景だったり、戦闘シーンを読み進める限りかなり強い。

対してヒロインのメリダ=アンジェは最弱だ。

能力者の育成学校に通うみんなは当たり前のように、マナを扱っている。

それぞれの特性を駆使して、技の名前を叫んで繰り出す。

マナを纏うことで段違いに上がった身体能力は、メリダを圧倒する。

有名な貴族一家の娘でありながら、弱い以前に戦いすらままならない彼女。

彼女の存在は悪い意味で目立つ。彼女がどんな扱いを受けているかは、今これまでの説明からある程度察してもらえると思う。

罵詈雑言は日常茶飯事、とだけ言っておきましょう。

 

しかし、彼女は懸命にあがきます。勉学は人一倍取り組み、肉体の鍛錬も怠らず。

 

それでも、マナが使えることはありません。

 

彼女が今懸命に積み重ねている努力も、マナが使えるようにならなければ、無駄骨に終わります。

 

そんな彼女を見て、暗殺者であるクーファは何を思うのか?

 

アニメ向きの作品であるように思います。戦闘シーンもあり、ちょっぴりエロイシーンもあり。王道のライトノベル、といったところでしょうか。

狼と香辛料3 感想

※ネタバレをしないように書いています。

※これまでのネタバレを含みます(一巻の感想はこちら→狼と香辛料 感想 - 九工大生のメモ帳

これは商人同士の決闘だ。

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作者:支倉凍砂

イラスト:文倉十

ざっくりあらすじ

行商がてら、ホロの故郷ヨイツへの情報を求めて、冬の大市で賑わう町クメルスンやってきた二人。そこで若い魚商人アマーティに出会う。

どうやらアマーティはホロに一目惚れしてしまったらしい。アマーティは彼女に急速に近づいていく。そんな中、ホロとロレンスの関係性はすれ違い、誤解が誤解を呼び、事態は町を巻き込んだ大騒動へと発展していく。

感想などなど

一巻、二巻含めてロレンスは商人としてかなりの成長を遂げました。大きな紹介と顔見知りになったり、絶望的な状況から機転を利かして脱却したり……ホロと一緒に乗り越えてきました。

巻数的にはたったの二巻かも知れませんが、得た経験値としては計り知れない物があります。

 

今回の騒動の中心には、ホロがいます。あらすじの通りホロを巡っての二人の男の決闘が、町全体を巻き込んで行われていきます。

今回の自分の理解としては「今までただ同然だったゴミの価格が高騰していく。商人達はこぞって買いあさり、限界まで高騰したときに売り抜けようとしている」と言ったところでしょうか。違ったらまた言って下さい。

まぁ、また経済学初心者にとっては小難しい話が展開していくという風に理解していればいいかと思います。

 

今回の話の盛り上がりはホロとロレンスの関係性が明確になりつつある、といった所でしょうか。今までも二人は事件に巻き込まれつつ共に乗り越えてきました。しかし、その裏側には「ホロからロレンスに対する恩」や「ロレンスからホロに対する同情」が少なからずあったように思います。それに事件には予想外の事態に仕方なく巻き込まれていた感じでした(ややこしくしていたのはホロだったり、ロレンスですが)。

今回は違います。アマーティがホロに惚れたのは予想外ではありますが、勝負を引っかけられて乗ったのはロレンスでありますし、自ら進んで戦いに挑んでいます。

 

あらすじから見るに、アマーティという男は「ホロをロレンスから奪おうとする男」と見えるかも知れません。しかし、

商人としての素質良し。

外見良し。

性格は好きになった女性のために何かを賭けることのできる覚悟のある、男気あふれた若き商人です。

まぁ、それはロレンスも負けてはいないわけで……

 

ホロとロレンス。

神と人であったとしても、男と女。

さて、二人の関係性はどうなっていくのか。楽しみです。

りゅうおうのおしごと!5 感想

※ネタバレをしないように書いています。

※今までのネタバレを含みます(一巻の感想はこちら→りゅうおうのおしごと! 感想 - 九工大生のメモ帳

天才と天才の一騎打ち

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作者:白鳥士郎

イラスト:しらび

ざっくりあらすじ

いよいよ若き竜王・八一と将棋界最強・名人との対決。

天才と神の一騎打ちの舞台は……ハワイ!?

何故だか師匠や弟子もみんなぞろぞろとついてきて、さながら一門旅行のよう。

おまけに銀子と夜の街へ繰り出していく。

こんな感じで八一はタイトルを守ることができるのか。

感想などなど

あらすじとは裏腹に、内容はシビアで熱く、しっかり将棋やってました。まぁ、それは前回もそうでしたね。いや、毎回そうですか。

 

天才と言われている八一と神と謳われる名人。

物語は当然のことながら八一の視点で展開していく。だからこそ、八一が勝つために全力を出していることは嫌と言うほどに伝わってくる。そして、名人がいかに強いかも同時に伝わってくる。

手の読み合いは熾烈を極め、竜王というタイトルの重みが肩にはのしかかり、世間は名人の竜王というタイトルの獲得を望んでいるかのようで。

状況は圧倒的に八一の不利。天才の力を前に打ちひしがれます。

そんな中、彼の周りには仲間がいました。

 

同時に桂香さんの試合は進行していきます。前巻で無事プロになることができた桂香さんはマイナビの大会で勝ちを積み重ねていきます。次の相手は……

釈迦堂里奈女流名跡 通称・永遠の女王

女流棋士の憧れであり、女流界最強とも名高い存在。実力差は歴然。しかし、「勝つ」と桂香さんの闘志が薄れることはありません。

こちらでも熱いバトルが展開していきます。

 

まさか泣きそうになるとは思いませんでした。ロリコンラノベとはもう言えません。

これは、熱い将棋小説です。

 

↓次巻の感想はこちら

tokuro.hatenadiary.jp

 

 

狼と香辛料2 感想

※ネタバレをしないように書いています。

※これまでのネタバレを含みます(一巻の感想はこちら→狼と香辛料 感想 - 九工大生のメモ帳

狼。羊飼い。旅商人。

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作者:支倉凍砂

イラスト:文倉十

ざっくりあらすじ

狼神ホロと旅をし続けることを決めたロレンス。前回の儲けで手に入れた胡椒と、ホロの経験と策略を武器に、優位な形で大きな商売を仕掛ける。しかし、北の教会都市リュビンハイゲンで思いがけない策略に嵌まってしまう。

大損による莫大な借金を返済するため奔走するロレンス。ホロにも解決策は思い浮かばず、時と運に見放されたロレンスは、商人人生を断たれるほどの絶望的な状況に立たされる。

そんな中、何とか思いついたたった一つの解決策。

彼は道中出会った一人の羊飼い・ノーラに全てを託した。

感想などなど

前巻。男として、商人として最高にかっこよかったロレンス。今回もそれを期待して読み進めます。

今回陥った状況をざっくばらんに説明すると「儲けになると踏んで大金はたいて買い込んだ物が、蓋を開けてみればゴミだった」というようなものでしょうか。経済学など全く知りませんが、自分の解釈はこんな感じです。違ったら詳しい人説明お願いします。

何だかんだで膨らんだ借金。

色々考えた結果、知り合いを巡ってお金を貸して欲しいと頼みに行きますが、後ろについてきているホロを見て、一様に首を横に振ります。

まぁ、そうですよね。借金あるくせに美人を隣に置いているのですから。

そこで責任を感じるホロ。ロレンスも思わず強い口調で言葉を投げかけます。

 

さて、思いついた解決策は金の運搬。

思いつきはしたものの、その実行は非情に難しい。誰かできる人はいないかと考えた結果が……

羊飼いの金髪美少女・ノーラ

というわけです。その他小難しい話は本編をどうぞ。

しかし、できるとはいっても絶対ではないわけで。予測不能の事態がここでも巻き起こります。

 

ホロとロレンス。神と人。

結局の所、どう頑張ったって互いに理解し合えないかも知れない。人にとっての神は畏怖の対象であって、神にとっての人は虫けらと同義かも知れない。

それでも二人は互いにゆっくりと歩み寄り、助け合います。まだ出会って間もない二人はこれからどうなっていくのか。

 

 

結論。ホロは可愛い。

月光 感想

※ネタバレを含まないように書いています。

甘美で奇妙な恋愛模様

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作者:間宮夏生

イラスト:白味噌

ざっくりあらすじ

冷徹でちょっと変わった男子高校生・野々宮

ある日、クラスメイトの美人で成績優秀、ゴシップの絶えない女子高生・月森葉子のノートを拾う。そこに挟まっていたメモには、彼女には似合わない「殺しのレシピ」という見出しが踊っていた。思わず彼は持ち帰り、翌日探し物はないかを尋ねる。彼女からは「いいえ」という返答。その数日後、彼女の父親が死亡した。

感想などなど

最初に大文字で示した通り、この物語は恋愛物語である。あらすじはどっからどう見てもミステリーではあるが、物語の根幹は完璧女と変わった男子高校生の、これまた奇妙な恋愛物語だ。異論は認めない。

 

主人公は変人だ。物語は野々宮の視点で展開していく。冒頭から淡々とした、他人をどこか遠くから眺めているような語り。見た目などはいたって普通で、友達もいる。しかし、彼の思考が描かれるたびに彼の異常さは際立っていく。

まぁ、彼に普通の恋愛なんて無理なのだろう。たとえ、どんなに手を差し伸べられたとしても、だ。

 

ヒロインの立場になるだろう月森葉子は完璧超人だ。成績だって、見た目だって、スタイルに至るすべてが完璧すぎる。

それは最早恐怖を覚えるほどで。

人間ではない何かを見ているようで。

そんな二人がつづる物語が普通の恋愛に発展するはずなどないわけで、背景に描かれる父親の死。その死の意味とは?

 

この物語は一つの……いや、数多くの謎によってつながった二人の恋模様をつづった物語だ。