工大生のメモ帳

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紫色のクオリア 感想

※ネタバレをしないように書いています。

彼女を助けられるのは……

情報

作者:うえお久光

イラスト:桐島志朗

ざっくりあらすじ

鞠井ゆかりは、人間がロボットに見える。

正確にはヒトだけでなく、自分以外の『生きているモノ』、全て。

それは、どうしても変えることのできない彼女の絶対条件。

クラスでは天然系の女子として受け入れられているが、彼女の周囲ではどうにも奇妙な出来事が多発するようで……。

ちょっと不思議な日常系ストーリー

感想などなど

この作品は難解だ。あらすじを見る限り、ちょっと変わった女の子と綴るちょっと変わった物語……と思われる方が大半だろう。

しかし、考えていただきたい。「クオリアって何やねん」と。

この作品で意味自体は説明されている。まぁ、このブログで簡単に説明すると、様々な物事に対する感じ方というやつだ。

赤色という感じ。

紫色という感じ。

そして、一言に赤色といっても戦場で見る赤であったり、スーパーの青果コーナーで見かける赤だったり、場所や状況で感じ方というやつは大きく異なってくる。

その『感じ』がクオリア……というらしい。多分自分がこの作品に出会わなければ、クオリアなんて言葉とは縁がなかっただろう。

 

さて、鞠井ゆかりはヒトを見るとロボットに感じるらしい。

あの無機質で冷たく、表情も変わることのない角張ったロボットである。いかんせん想像しにくい。

主人公はそんな彼女の友達、波濤マナブ。彼女目線で物語は進行していく。

何度も言うがこれはほのぼのとした日常を描いたものではない。ほのぼのとした日常を得るために奮闘する物語だ。

ヒトがロボットに見える。その時点で普通な人と至って平凡な日常を遅れるかと言えば、無理だった……というわけである。

 

最初は退屈かもしれない。自分は最初の方だけ読んで数日間放置していた。

ヒトがロボットに見える設定が生かされてないじゃないか、と思い読まなくなっていたのだ。

しかし、事態は急変する。

鞠井ゆかりの目について知っている人間は学園では三人だけだった。

鞠井ゆかり自身は言わずもがな。主人公である波濤マナブと、もう一人天条七美という鞠井ゆかりの幼なじみの計三人だ。

問題は天条七美である。彼女は鞠井ゆかりを酷く嫌っていた。しかし、ほっとくことができずに構ってあげるという奇妙な関係ができあがっていた。

どうやら昔、何かあったらしい。

この嫌うことになった原因こそが、鞠井ゆかりが普通の生活を送ることのできず、特別視される理由であり、

物語の始まりだった。

 

途中でも書いたが、最初は比較的退屈だ。しかし、中盤からの怒濤の展開からは一気に読み進めてしまうほどに面白い。

きれいに完結した作品でした。ジャンル的には多分SFに入ると思います。